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若ちゃんブログ
6月20日 子供より親が大事

三鷹市禅林寺は辛い思い出の場所である。30年近く前、ちょうど東京に出てきた年、4つ年上の従兄ががんでそれも20代半ばにして世を去ったのだ。当時兄弟と三鷹に住んでいた事もありこの禅林寺にて通夜と告別式を執り行った。私はその従兄を小さな頃より兄貴のように慕っていた。その身内の死はあまりにも大きな衝撃だった。それは彼にとっても結婚を誓い合った彼女との別れでも会った。
通夜の翌朝境内の太宰治の墓に参った。弟とともに彼の思い出を語り合いながら朝を迎えた。太宰はいったい私に何を語ってくれるだろうか。
小学校以来郷土の有名作家として出会い、高校時代は熱狂なるファンになっていた。いつも太宰を意識して生きていた。好きだった彼女とはいつも太宰の小説が会話の中心だった。
従兄の死後、何度となくこの寺を訪れている。それも決まって6月19日に。折りしも今年は生誕100年のあたる。運良く都内に仕事ができ、何年ぶりかの「桜桃忌」
50歳にして太宰熱はそろそろ醒め始めてはいるがまだまだ燃える思いはあるようだ。時間に追われるように多くの人並みを欠き分け、墓前に手を合わせる。
そこには多くのファンからの花や酒、そしてサクランボが手向けられていた。恒例に成ったサクランボによる太宰治の墓碑。太宰はいまだ不滅。
小説「桜桃」はこの一説より始まる。「子供より親が大事と、思ひたい。子供のために、などと古風な道学者みたいな事を殊勝らしく考えてみても、なに、子供より親のほうが弱いのだ。少なくとも、私の家庭においては、さうである。」実に言いえて妙である。
何十年経とうがわが国の家庭は変わらない。子供のために親は汗水流して働いているのだ。しかし、その子供らは解ってくれないのだ。そしておやじは居る場をなくし、夜の巷に。
新宿のビヤガーデンにて。ここはビルの谷間のまるでオアシス。ベトナム料理に仕事も忘れる。又ひとつ素晴らしい出会いがあった。


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